こんにちは。
右瑞羅uzuraです。
今日は、東京バレエ団の公演を見てきました。
観劇した感想をまとめます。
本日の演目
- スプリング・アンド・フォール
第1楽章:大塚 卓
モデラート:生方隆之介、鳥海 創
第2楽章:足立真里亜
テンポ・ディ・ヴァルス:長谷川琴音、安西くるみ、加藤くるみ、涌田美紀、榊優美枝、中沢恵理子
生方隆之介、ブラウリオ・アルバレス、鳥海創、井福俊太郎
第3楽章:大塚 草
スケルツォ:ヴィヴァーチェ:ブラウリオ・アルバレス、井福俊太郎、生方隆之介、鳥海 創、海田一成、後藤健太朗、加古貴也、山下湧吾、宫村啓斗
第4楽章 ラルゲット:足立真里亜 - 大塚 卓
- イン・ザ・ナイト
秋山 瑛 一 秋元康臣
中川美雪 ー ブラウリオ・アルバレス
平木菜子ー柄本 弾
ピアノ:松木慶子
かぐや姫:秋山 瑛
道児:柄本 弾
翁:木村和夫
秋見:伝田陽美
影姫:沖香菜子
帝:大塚 卓
大臣たち:宮川新大、池本祥真、樋口祐輝、安村圭太
側室たち:二瓶加奈子、三雲友里加、政本絵美、中川美雪
スプリング・アンド・フォール
ジョン・ノイマイヤーによる振り付け。
音楽はアントニン・ドヴォルザーク作曲の弦楽セレナーデ ホ長調op.22
私自身、この公演にて初めて見た作品。
まず、何も知らないままに観劇した印象から⏬
舞台の背景から受けた印象の影響もあるからか、水墨の世界を感じた。
真っ白な背景にうっすら炭で模様が塗られているかのようなシンプルな背景だったのでそのように感じるものがありました。
舞台全体や衣装が真っ白だったので、まっさらな紙のようにも思えました。
そのような舞台の中、ダンサーたちは水の波紋が広がるかのように連鎖しながら踊ります。
舞台袖から出てきてはぶつかったり、絡み合ったり…
後半になるにつれて、踊りからまとまりを感じられるようになっていったその様は、水に墨が溶け込むような…
そのようなイメージを無知ながらに感じました。
実際に、どのような作品であったのかというと、
ノイマイヤーは、ダンスというメディアを通して題名が意味するものを多義的で五感では感じることのできないような神秘的世界を展開させたとのこと。
人生における春夏秋冬という意味合いだけでなく踊るということが人生の表現でありこの作品のテーマとしているということでしょうか。
少し難しいのですが自分なりに考えてみました。
スプリング・アンド・フォールには、「春と秋」という意味合いだけでなくモダンダンスにおける「跳躍と落下」の意味合いが掛けてあることに驚きと深さを感じました。
イン・ザ・ナイト
ジェームズ・ロビンによる振り付け。
音楽はフレデリック・ショパン作曲のノクターンop.27-1、ノクターンop.55-1,2、ノクターンop.9-2で松木慶子さんによる生演奏でした。
水色っぽい色の組み、オレンジの色の組み、黒っぽい色の組みの男女3組がそれぞれ踊り、最後みんなで同じ曲で踊るというような流れ。
舞台は非常にシンプル。
背景には星がキラキラと煌めいており、ロマンチックな場。
特に、役柄ははっきりした作品ではないけれど、それぞれのカップルの男女の気分の移ろぐ様子が作品で表現される。
繊細な旋律のショパンのノクターンと踊りが見事に一体になっていて感動した。
私自身の中では、オレンジのカップルの振り付けと音楽がリンクしていて、踊りによってショパンの音楽が具現化されているかのようで引き込まれた。
きっと振り付けの素晴らしさはもちろんだが、踊り手の音楽への理解と努力によるところも大きいだろう。
それぞれのカップルごとに個性が踊りから滲み出ていてとても面白い作品でした。
床を軽く滑るような振りがあったり、少しアクロバティックめな振り付けが盛り込まれていて踊りの緩急に心を動かされました。
何より、生演奏によるショパンのノクターンも非常に素晴らしいもので…✨
暖かな音色に癒されました。
かぐや姫 第2幕
私は、このかぐや姫という作品に触れたは今日が初めてでした。
新たに創作された作品はどのようなものなのか、期待とドキドキが込み上げる中での観劇でした。
振り付けは金森穣さん。空間や照明に関しても金森さんが携わっています。
音楽はクロード・ドビュッシー。
全体的な感想としては、
クラシックバレエへのリスペクトを保持しつつ、適度に非クラシカルな動きが取り入れられており、とっても洗練された作品という印象を受けました。
かぐや姫という演目ということもあって、黒子による舞台変換や演出、着物の袖をもちながらおしとやかに歩くといった古き時代の日本人の所作が組み込まれていたりとクラシックバレエの形を保ちつつ、枠に囚われない作品となっていました。
とにかく、前衛的な面と古典的な面のバランスが絶妙で、古典バレエに多く親しみを持つ私自身にとってもすんなりと作品を受け入れることができ、終演には感動で一杯でした。
始まり。
幕が開いて最初のシーンは、紅葉が舞うところから。
美しく色づいた紅葉の葉がはらはらと舞台中央から舞い散っています。
趣とどこかもの哀しさある雰囲気。
照明もぼんやりと暖かさあるライトが舞台を照らしていました。
さらには、ドビュッシーの音楽によって劇場から異世界へ誘われ、観客である私たちは一瞬でかぐや姫の世界へ引き込まれました。
舞台は真っ白でシンプル。
無駄の無く洗練された舞台セット。
真っ白な空間に、カカオ豆のような見た目の装飾が施された照明が数個天井から吊るされています。
真っ白であるため、ライトによって情景や雰囲気がガラリと変化します。
そして、第2幕を見ていると、
終わるまで途切れを感じることのないような流れある作品で、大きな舞台変換も少ないので集中が途切れることなく一息で最後まで観劇できるかのようでした。
真っ白なステージが大きな画用紙のようで、まっさらなところに光をもって彩られ場の雰囲気が変化する構成がとても面白かったです。
衣装も素敵でした。
女性は着物を羽織る形で着用。光沢ある衣装で日本古来の文化とモダンなテイストが適度に合わさった洗練されたデザインでした。
かぐや姫の衣装は、透明感ある美しい青緑色の衣装。
中には光沢のある真っ白なレオタード。
それに対してかぐや姫に嫉妬の思いを募らせる影姫は毒々しい赤を貴重とした色の衣装。
宮廷の女たちがはっきりとした赤い衣装を着ていることと重なっており、都を逃れたいかぐや姫と、帝や影姫を中心とした都の人々の対陣関係が表現されているかのようでした。
かぐや姫の衣装についてですが、
羽織を脱いだ真っ白なレオタード姿は、かぐや姫の美しい純粋な心そのものであったり、都から逃れたいという本心・本音が露わになった姿のように見えました。
翁に対し怒りが爆発したシーンは印象的です。
日本固有の着物をヒラヒラと駆使した踊りは美しかったです。
宮廷の女たちによる踊りも非常に華やかでした🌺
今回の見どころのポイントの一つとして、黒衣の男性らによる群舞。
揃っていて迫力満点で凄まじかったです。
白い舞台だからこそ、真っ黒な衣装を着た男性らによる息を合わせたシャープな踊りは、宮廷でかぐや姫を取り巻く恐ろしき感情を具現化されているかのようで、大人数による表現の力に圧倒されました。
金森さんにとっても、ベジャール作品を上演する東京バレエ団で取り入れたいと思っていたのが男性群舞だったそうです。
本当に揃っていて、感激でした。
童子は、都と田舎との格差がはっきりしている。
同じ時代とは思えないほど、都の人々に対して原始的。
かぐや姫にとって童子は、身を豪華に飾りつつも欲望に駆られてしまっている、そんな宮廷の人々を霞ませるほどの魅力を持つ心の美しい存在であるのだろう💭。
私にとって最も印象的だったシーンはかぐや姫と童子が引き裂かれるシーン。
かぐや姫が絶望し闇に呑まれると、かぐや姫を都まで追ってきた童児の姿を見つける。
2人は逃亡を図るも、思うようにいかない。
という流れで、
2人の背後に白いパネルが黒子によって舞台前方から2枚ずつ舞台奥へ向けて並べられる。
すると、まるで襖が開くように2枚1組だったものが開かれると、かぐや姫を残して童子は奥へと呑まれ、パネルは元の通りに閉ざされ2人は引き裂かれる形となる。
取り残されたかぐや姫は、閉じられたパネルを自らの手でこじ開け、童子が消えていった方へ追ってゆこうとするも、その先に待っていたのは帝。
童子との幸せな空間はもう追った先には存在せず、待っていたのは禍々しい宮廷社会。
この時のかぐや姫の絶望感…。
演出が素晴らしすぎて。
この引き裂かれるシーンは非常にスピーディーであっという間に童子が消え去ってしまうまで目まぐるしかったです。
都から逃亡したいかぐや姫の頻拍した様子が繊細にドラマチックに、テンポ良く表現されていて感嘆します。
真っ白な空間だからこそ、それぞれのキャラクターの味わいが映えていました。
無駄を削ぎ落としつつも、しっかりかぐや姫の物語や表現の意図が分かりやすくなっていて精密に作り上げられた作品であることをひしひしと感じました。
舞踊という観点だけでなく、照明、衣装、舞台美術、セットなどそれぞれに芸術的なこだわりが詰まっていて、総合芸術としての新たなバレエ作品が完成されていました。
本当に洗練された作品で、感激でした。
秋には全幕が初演されるそうなので、楽しみで待ち遠しいです。
まだ1幕を見ていないので全て通して、改めてかぐや姫の世界を堪能したいと思います。
※個人の感想・考察となっております。ご了承ください🙇